生産者の声

家族でつないできた
風工房のための完熟いちご

いちごは、親となる苗からランナーと呼ばれる“つる”を伸ばして
子の株を増やし、繁殖させていきます。
子の株は、親とつながった“つる”を通して
おいしい実を育てるための栄養を受け取り、ぐんぐん成長していきます。
そんないちごと自分たちは、似ているように思うんです。

わたしはいちご栽培を父から引き継ぎました。

父は「“いちご”でこの町を盛り上げたい」という夢を抱き、
それまでの生産物をやめて、いちご栽培に人生をかけました。
そして、そのいちごの一番おいしいときを味わってもらおうと
母がスイーツをつくりました。それが風工房につながっています。

わたしたちにとって風工房に届けるいちごと、
そこから生まれるスイーツは特別な存在なのです。

一般的にいちごは、流通しているあいだに傷んでしまわぬよう
未熟な状態で出荷を行うことが多いのですが
わたしたちは完熟するまで苗のもとでしっかり育てます。
そして、完熟したその日の朝につんだものを風工房へ運んでいます。
だから、甘さも香りもちがうのです。

中土佐町は決していちごの有名産地ではありませんが
この町だからこそ、そして、風工房があるからこそ、
楽しめるいちごの味があります。
ぜひ風工房にお越しいただき、
わたしたち家族が大切にしてきたおいしさをご賞味ください。

農家さんの誇りと
お母さんの想いを
町の若者が守っています

高知県中土佐町はカツオの町として名を馳せてきました。
町民にとって漁業は町の大きな誇りですが、
その一方で、農家さんたちの胸には
「農産物でも町を盛り上げたい」という想いがありました。
そんななか、ひとりの農家が「いちごを育てよう」と呼びかけたのです。
カツオに負けないぐらい「おいしい!」と喜んでもらえる
いちごを育てようと、農家仲間で試行錯誤を重ねました。
そして、たどりついたのは一番おいしい完熟になるまで
畑で大切に育てる、ということです。

ところが、完熟いちごは実が柔らかいため流通には適していませんでした。
完熟いちごのおいしさを、なんとか味わってもらおうと
農家のお母さんたちがはじめたのがスイーツづくりです。

それまでクッキーすら焼いたことのないメンバーもいましたが
有名フードプロデューサー・大原一郎氏からみっちりとご指導いただいた技術に、漁師町の豪快さをプラスして、完熟いちごをたっぷり使ったスイーツが完成。
そして、1997年に「風工房」をオープンさせました。
たちまち風工房のいちごスイーツは評判となり、
「中土佐町といえば、カツオと風工房」といわれるようになりました。

時が経ち、風工房のスイーツづくりは
農家のお母さんたちから町の若者へとバトンタッチしています。
若者たちにとって風工房のスイーツは
「ふるさとの味」であり、「この町の誇り」です。
世代が代わっても変わらぬ想いとおいしさを大切にしながら
農家のお母さんたちの丁寧さを受け継ぎ
今日もおいしいいちごスイーツをつくり続けています。